親子で楽しむ数学絵本の選び方と年齢別おすすめ

はじめに：絵本で数学を学ぶメリット

絵本は視覚情報と物語を通して数や図形、論理的な考え方をやさしく伝えることができます。言葉だけの説明よりも具体的なイメージが残りやすく、親子で読み進めることで自然と数学的な問いかけが生まれます。複数の情報源を参照すると、幼児期に数への興味を育てることが、その後の学びに良い影響を与えるとする見解が多く見られます。

選び方のポイント

• 対象年齢を確認する：絵本によって対象年齢や学べる内容（数の概念、たし算・ひき算、図形、かけ算・わり算、数の性質など）が異なります。
• テーマで選ぶ：数の数え方・大小、合成と分解、図形・立体、思考パズル、確率や統計の初歩など目的に合わせると選びやすいです。
• 仕掛けやイラストの有無：しかけ絵本や手で触れる要素があると低年齢でも学びが深まります。
• 親子で楽しめるか：読み聞かせを前提に、親が語りやすい文体や会話形式の本は使いやすいです。
• シリーズものを活用する：同シリーズで段階的に学べるものは継続学習に向きます。

年齢別のおすすめの読み方

未就学児（0〜3歳）

この年齢は数に親しむ体験が大切です。ページをめくりながら数を数えたり、指で数を指したりして「数える」行為そのものを楽しめる絵本を選びましょう。色や形がはっきりしている本、めくる仕掛けがある本が向きます。

幼児〜低学年（3〜7歳）

1〜10の数の理解や、たし算・ひき算の概念がテーマの絵本が効果的です。物語の中で登場人物の増減を数えながら計算の感覚を育てる、という読み聞かせが有効です。また数の合成と分解（例えば「5は2と3」など）を示す本もおすすめです。

高学年（8歳〜）

ここでは数の性質（素数、九九の拡張、分数、図形の性質など）に触れる絵本や、やや読み応えのある数学をテーマにした作品が向きます。ストーリーを通して発想力や論理的思考を刺激する一冊を選びましょう。

おすすめ絵本（用途別・実際に購入できる商品を中心に）

以下はAmazonや楽天で流通していることが確認できる、幅広い年齢で楽しめる数学絵本のリストです。商品名はそれぞれの見出し（h3）に記載しています。各書籍について、どの年齢に合うか、学べるポイント、読み方の工夫を解説します。

数の悪魔 — 算数・数学が楽しくなる12夜（原題：数の悪魔）

対象年齢：小学生〜大人まで。ストーリー形式で数のさまざまな概念を紹介する本です。

おすすめポイント：物語の形で「1や0の不思議」「パスカルの三角形」「素数」などを取り上げ、難しいテーマを会話とエピソードでやさしく解説します。子どもの好奇心を刺激しながら、数学の基礎的な考え方に触れられる構成が魅力です。親子で読み進めながら、登場する数の問題を一緒に考えると学びが深まります。

かずのえほん（1〜10などの基本を楽しく学べる定番絵本）

対象年齢：幼児〜低学年。イラストと短いテキストで数の基礎を学べる定番書です。

おすすめポイント：かわいらしい動物や日常のモチーフで1から10まで数える楽しさを教えます。ページごとに数を体感できる仕掛けやリズミカルな言葉を取り入れると、子どもの記憶に残りやすくなります。

1から100までのえほん（数を大きく数える楽しさを味わえる本）

対象年齢：幼児〜小学校低学年。1から100までの数の世界をビジュアルで表現した絵本です。

おすすめポイント：数を大きく数える楽しさや、数の並び・増減の感覚を育てるのに適しています。ページをめくるごとに数が増えていく構成は、子どものワクワク感を引き出します。

100かいだてのいえ（ページをめくるたびに数が増えていくワクワク絵本）

対象年齢：幼児〜小学校低学年。めくる楽しさを通して数の概念を身近にする一冊です。

おすすめポイント：物語を追いながらページをめくると階が増えていく構成は、子どもに数の増加を直感的に体験させます。数を数えるだけにとどまらず、ページごとの細部を探すことで注意力や観察力も鍛えられます。

たすひくねこ（たし算・ひき算を物語で学べる絵本）

Amazonで購入する

対象年齢：幼児〜低学年。グループの増減を物語に絡めてたし算・ひき算の概念を導入します。

おすすめポイント：登場する猫が増えたり減ったりする劇的な場面を通して、数の合成と分解、10の補数などの概念に触れられます。読み聞かせでは「いま何匹？」と問いかけながら一緒に数えることで理解が深まります。

1つぶのおこめ（倍や掛け算の概念に触れる絵本）

対象年齢：幼児〜低学年。身近なテーマで「倍にふえる」概念をやさしく紹介します。

おすすめポイント：物語の繰り返しで「増える」感覚を体感でき、かけ算の原理をイメージで掴むのに向いています。読み聞かせの中で実際に指で数を増やしたり、簡単な図を描いて説明することで理解が進みます。

はじめてであうすうがくのえほん（シリーズ）

Amazonで購入する

対象年齢：幼児〜小学校低学年。シリーズで数の基礎的な概念を段階的に紹介します。

おすすめポイント：「なかまはずれ」「ふしぎなのり」「じゅんばん」「せいくらべ」など複数のテーマを収録したシリーズは、さまざまな数学的考え方に触れるのに便利です。段階的に読み進められるため、継続的な興味づけに向きます。

さわって学べる算数図鑑（仕掛けで触れて学ぶ図鑑）

対象年齢：幼児〜低学年。図形や立体、かけ算・分数などを“触って理解”する仕掛け絵本／図鑑です。

おすすめポイント：実際に手を動かして遊べる仕掛けがあるため、抽象的になりがちな図形や立体の理解が進みます。出版社による学習プリントなどの併用で家庭学習にも適しています。

さんすうサウルス（恐竜×算数で学ぶシリーズ）

対象年齢：幼児〜小学校低学年。恐竜好きの子ども向けに数や計算の基本を楽しく学べる一冊です。

おすすめポイント：好きなモチーフ（恐竜）を数学学習に結びつけることで、興味関心を引き出しやすくなります。物語の合間に出てくる問題を親子で解いてみると理解が深まります。

王さまライオンのケーキ（分割・倍の考え方を扱う絵本）

対象年齢：幼児〜低学年。ケーキを分ける場面などを通して「半分」や「倍」の概念を直感的に学べます。

おすすめポイント：実物のケーキやおやつを用いて読み聞かせをすると、さらに実感が湧きやすくなります。遊び感覚で分け方を工夫させる問いかけが効果的です。

たのしい図形本・図形図鑑（図形の直感を育てる本）

対象年齢：幼児〜小学生。線対称や立体、組み立てなど図形に特化した仕掛けがある書籍です。

おすすめポイント：図形の性質を体験的に学べるため、空間認識力や図形問題への抵抗感を減らすのに有効です。簡単な工作や切り貼りで図形を確かめる時間を設けると理解が深まります。

統計学の絵本（統計・データの入門）

Amazonで購入する

対象年齢：小学校高学年〜。分かりやすい事例でデータや統計の基本概念を紹介する入門書です。

おすすめポイント：データの見方や表・グラフの読み方を日常の事象に結びつけて学べます。低学年向けのデータ活動と組み合わせると、実践的な理解が進みます。

読み聞かせでの工夫と活動アイデア

絵本をただ読むだけでなく、実際に手や体を使う・問いかけをくり返すことで学習効果が高まります。ここでは家庭や教室でできる具体的な工夫を紹介します。

• 指で数える：ページの登場人物や物を指で数えさせ、声に出して数を言わせます。視覚と聴覚、触覚を同時に使うと記憶に残りやすくなります。
• ページにテーマ付けする：例えば「今日は『半分』がテーマ」と決めて関連する絵本を2冊ほど続けて読む。概念の関連づけがしやすくなります。
• 実物を使う：おやつやブロックを使って本の場面を再現し、分割や倍の考え方を体感させます。
• 親が質問役になる：「いま何個？」「もし1個増えたらどうなる？」など問いかけを増やすことで子どもの考える力を引き出します。
• ワークシートやプリントを活用：出版社や作家の提供する簡単なプリントと組み合わせると、絵本の内容を定着させやすいです。
• 読後にミニプロジェクト：図形の絵本を読んだら、切り紙で形を作る、小さな工作をするなどの活動を行います。

保護者・先生向けのアドバイス

絵本は「学習の導入」として非常に有効ですが、長期的な興味を育てるためには日常の中で継続的な刺激を与えることが重要です。以下のポイントを参考にしてください。

• 比べる・予想する習慣をつくる：絵本の場面を見て「このあとどうなる？」と予想させるだけで、論理的な筋道を立てる練習になります。
• 日常生活と結びつける：買い物や料理、時間の読み方など、日常の場面で絵本の内容を活かすと学びが深まります。
• 褒めて次につなげる：誤答をただ否定するのではなく、どのように考えたかを認めたうえで次の問いを出すと自主的に考える力が育ちます。
• シリーズや関連書を組み合わせる：同じテーマでレベル違いの本を用意すると、自然にステップアップできます。

よくある質問（FAQ）

Q. 絵本だけで算数ができるようになりますか？

A. 絵本は想像力と基礎概念を育てるのに非常に有効ですが、計算力や応用力を育てるにはワークや問題演習、実体験を組み合わせることが重要です。絵本は学習への入口と位置づけ、日常での実践やドリル学習と併用すると効果的です。

Q. 何歳から数学絵本を読み始めればよいですか？

A. 早ければ乳児期から「1つ、2つ」と数える絵本を取り入れてよく、幼児期には数の感覚を楽しむ教材として活用できます。年齢に合わせて段階的に難易度を上げていくのがおすすめです。

Q. 図形が苦手な子におすすめの本は？

A. 手で触れる仕掛けのある図形絵本や、切り紙・組み立てワークが付いた図形図鑑が有効です。視覚と触覚を同時に使うアプローチで理解が深まりやすくなります。

購入時のチェックリスト（Amazon・楽天で探す際の注意）

• 商品説明と対象年齢を確認する：対応年齢が幅広い場合、具体的にどの年齢に向くのかを商品説明から確認してください。
• レビューを活用する：購入者レビューや書評の要点（読みやすさ、内容の分かりやすさ、仕掛けの使いやすさなど）をチェックしましょう。
• 版元・著者情報を見る：シリーズの有無や著者の他著作を確認すると学習の継続に役立つ本を見つけやすくなります。
• 実物のサイズや紙質：仕掛け絵本は紙質や製本によって使い勝手が変わるため、商品ページの寸法や仕様情報を確認してください。

さらに楽しむための発展アイデア

興味が出てきたら、以下のような発展活動で学びを広げましょう。

• 図書館や本屋でテーマ別に探す：実際に手に取って絵や仕掛けを確認すると選びやすくなります。
• 親子で読書ノートをつくる：読んだ本の感想や好きなページ、数の問題を書き留める習慣をつけると学習が定着します。
• 工作や料理と組み合わせる：分割や割合の概念はピザやお菓子の分け方で体験的に学べます。
• 季節のイベントと結びつける：例えばハロウィンでお菓子を数える、クリスマスツリーに飾りを数えるなどの実践。

紹介した絵本の使い分け早見表（目的別）

購入後のフォローアップ

絵本を買ったら終わりではなく、以下の工夫で学習効果を持続させましょう。

• 定期的に読み返す：同じ本を繰り返すことで発見が増えます。
• 関連する本を1冊ずつ増やす：テーマを少しずつ広げると興味が深まります。
• 読み聞かせの記録をつける：どんな質問をしたか、どんな反応があったかを簡単にメモしておくと次回に活かせます。