親子で始める性教育：絵本の選び方とおすすめ

はじめに：絵本で性の話をするメリット

幼児期からの性の学びは難しく感じられますが、絵本は対話のきっかけとして非常に有効です。絵本を通じて親子で言葉を交わすことで、子どもが自分の感情や身体について自然に理解を深めるサポートになります。

以下のポイントを意識して絵本を選ぶと、読み聞かせの効果が高まります。

• 年齢に合った語り口：幼児向けは短い語りと大きなイラスト、小学生向けは解説や問いかけがある本が向きます。
• テーマの明確さ：プライベートゾーン、身体の違い、感情、家族の多様性など、伝えたい内容に即した一冊を選ぶと話しやすいです。
• 親向け解説の有無：大人向けの解説が付いていると、読み聞かせ後のフォローがしやすくなります。
• 絵の受け止めやすさ：やさしい色調や表情が豊かな絵は、子どもの理解を助けます。
• 具体的なフレーズがあるか：「いやだ」と言う練習や、誰に相談すればよいかを示す表現が含まれている本は実践的です。

絵本を使った読み聞かせの進め方（基本のステップ）

はじめて性について話すときは、親の緊張がそのまま伝わりがちです。次の手順を意識すると落ち着いて進められます。

• 導入は短くフレンドリーに：まずは絵や表情を見ながら一緒に楽しむところから始めます。
• 子どもの反応を待つ：ページをめくるたびに子どもの表情や質問を受け止め、無理に説明を加えないことが大切です。
• 簡単な言葉で繰り返す：繰り返し読み聞かせることで内容が定着します。
• 実生活につなげる：日常の出来事（お風呂、着替えなど）と関連づけて話すと理解が深まります。
• 相談できる大人の存在を伝える：困ったときは信頼できる大人に伝えるというメッセージを繰り返します。

選書の軸：テーマ別に見るおすすめポイント

プライベートゾーンを教える絵本

幼児に「触られていい場所」と「触られてはいけない場所」を伝えるときは、イラストと短い言葉で繰り返せる本が便利です。親子で合言葉を作れるタイプの本は実践向きです。

からだの違い・性の多様性を伝える絵本

人それぞれ身体や家族のかたちが違うことをやさしく伝える本は、差異を受け入れる感覚を育てます。具体的な登場人物の設定や日常のエピソードを通して自然に学べる点が強みです。

感情（きもち）や境界を学ぶ絵本

「いやだ」「してほしい」「助けてほしい」といった感情表現や自己主張の練習になる作品は、自己防衛や対人関係スキルの基礎になります。

親向け解説つきの絵本

読み聞かせ用の絵本に親向けの解説が付属するタイプは、子どもの年齢ごとの伝え方や受け止め方のヒントが得られるので安心して使えます。

Amazon・楽天で買える人気の実例（選び方と使い方を含む）

ここでは、実際に販売されている絵本の中から、読み聞かせや話の広げ方がわかりやすいものを紹介します。商品名はh3タグに入れ、id=”productaffi”を付けています。商品リンクは掲載していません。

だいじ だいじ どーこだ？（えんみさきこ／作）

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おすすめポイント：イラストがやさしく、親子の合言葉として使える表現が入っており、幼児期のプライベートゾーンや「大切な場所」を伝える導入に向きます。読み聞かせの中で繰り返しフレーズを使うことで子どもが覚えやすく、日常会話にも取り入れやすい構成です。

使い方：読み終えたら親子で「だいじ」を指さす遊びをして、身体の大切な場所を確認する時間を作ると学びが深まります。

いいタッチ わるいタッチ（安藤由紀／作・絵）

おすすめポイント：「いやだ」という気持ちを尊重するメッセージが分かりやすく描かれており、触れて良い／良くないの線引きを感情面から理解させやすい一冊です。イラストと短い言葉で感情表現を促すので、幼児でも取り組みやすいのが強みです。

使い方：場面ごとに「これはどっちかな？」と問いかけ、子どもの受け答えを引き出して対話を深めてください。

わたしのはなし（山本直英・和歌山静子／作）

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おすすめポイント：「自分のからだは自分で守る」という主題をやさしく伝え、身体の違いを肯定的に描く点で幅広い家庭に向きます。言葉の選び方が柔らかく、男女問わず読みやすい内容です。

使い方：日常の出来事（着替え・入浴など）と関連づけて語りかけることで、実生活での判断力を育てます。

あっ！そうなんだ！ 〜性と生〜（絵本編＋解説編つき）

おすすめポイント：絵本パートと親向けの解説パートが分かれている形式で、幼児から小学生まで段階的に使える構成です。解説があることで親が迷ったときの参考になり、読み聞かせ後のフォローがしやすい点が魅力です。

使い方：親は解説編を読んでから絵本編を子どもに読み聞かせると、適切な言葉選びや伝え方に自信が持てます。

からだうた（読み聞かせ向け・からだの歌で学ぶタイプ）

おすすめポイント：歌やリズムでからだの名前や働きを覚えられるタイプは、学習が遊びに結びつくため幼児に人気です。身体への関心をやわらかく引き出すので、初期の導入として効果的です。

使い方：歌に合わせて体の部位を指差すなど、身体感覚を育むアクティビティを組み合わせると定着しやすくなります。

タンタンタンゴはパパふたり（多様な家族を扱う絵本）

おすすめポイント：多様な家族の形を自然に紹介することで、家族の違いに対する理解を育てる一冊です。登場人物の生活を通じて「家族っていろいろあるね」と話しやすい設計になっています。

使い方：読み聞かせ後に「みんなの家族はどんなかな？」と話題を広げると、子どもの経験と言葉を結びつけられます。

女の子のからだえほん / 男の子のからだえほん（性別別にからだを説明する絵本）

おすすめポイント：性別ごとのからだの変化や違いをやさしくまとめているシリーズは、性差の理解に役立ちます。具体的でありながら過度に専門的でない表現が多く、初期の学びに向きます。

使い方：年齢に合わせて一部を読む、あるいは子どもの質問に合わせてページを選ぶなど柔軟に使えます。

年齢別の絵本活用ガイド

0〜2歳（赤ちゃん〜よちよち期）

この時期はまず愛着を育てる読み聞かせが中心です。身体を優しく扱う言葉かけや、日常のスキンシップの中で「大切にされている」実感を伝えることが大切です。イラスト中心で短いフレーズの絵本を選ぶと読みやすいです。

3〜5歳（幼児期）

プライベートゾーンや「いやだ」の気持ちを伝える言葉の練習を始める適齢期です。簡潔で反復の多い本を使って、親子で合言葉を作るなど実践的に学びます。遊びを交えた読み聞かせで抵抗感を減らしましょう。

6〜9歳（低学年）

からだの違いや基本的な生理の仕組み、多様な家族について理解を深める段階です。解説がやや付いた絵本や入門書を併用し、子どもの質問に対して具体的に答える準備をしておくと安心です。

10歳前後（高学年の手前）

より詳しい説明や、感情面・人間関係の話題が増えます。絵本に加えて、年齢相応の読み物や図解のある本を用い、段階的に理解を広げていくことが重要です。

読み聞かせ時に使える具体的なフレーズ例

実際の読み聞かせで使いやすいシンプルな言葉をいくつか紹介します。繰り返し使うことで子どもが覚えやすくなります。

• 「これはあなたの大切な場所だね」 — プライベートゾーンの導入に。
• 「いやだと感じたら、すぐに言おうね」 — 子どもの気持ちを尊重する表現。
• 「困ったときは〇〇に教えてね」 — 信頼できる大人の存在を示す。※具体名は家庭で決めておくと良いです。

-（注：上の例は一般的な言い方で、家庭の方針に合わせて調整してください。）

よくある質問（FAQ）

絵本を何歳から使えばよいですか？

テーマと子どもの個別差によりますが、プライベートゾーンの基礎は3歳前後から導入する家庭が多く、からだや多様性の話は幼児期後半〜小学生にかけて段階的に深めていくとよいでしょう。

親が読んで恥ずかしいと感じます。どうしたらいいですか？

最初は短い本を選び、親向け解説を先に読んでから子どもに読んでみると落ち着きます。声のトーンをやわらかくするだけでも子どもの受け止め方が変わります。

複数冊を買うべきですか？

一冊だけでも効果はありますが、テーマ別に数冊そろえておくと、子どもの発達段階や興味に合わせて使い分けられて便利です。

購入前のチェックリスト

購入前に確認しておくと失敗が少ない項目をまとめます。

• 対象年齢が自分の子どもに合っているか。
• 本文の言葉遣いが分かりやすく穏やかか。
• 親向けの補足説明が付いているか（必要に応じて）。
• イラストの表現が過度に刺激的でないか（子どもが怖がらないか）。
• レビューや評価を参考に、実際の読み聞かせでの使いやすさを確認する。

読み聞かせ後のフォロー方法

読み終わった後の対応が学びの定着に重要です。以下を意識してフォローしてください。

• 感想を聞く：開かれた質問（「どの場面が気になった？」など）で子どもの考えを引き出します。
• 場面をロールプレイする：安全な範囲で簡単な演じ遊びをして感情表現を練習します。
• 日常のルール化：「いやなときは手を離す」「助けを呼ぶ」など、実際に使えるルールを親子で決めます。
• 繰り返し読み聞かせる：何度も読んで定着させることで、子どもが自然に言葉を使えるようになります。

書店・通販での購入時の注意点

Amazonや楽天等で購入する際は、書影だけで判断せず、商品説明や読者レビュー、出版社の情報を確認してから選ぶと失敗が少ないです。特に年齢表記や改訂情報はチェックしておきましょう。

おすすめの読み聞かせタイミング

効果的なタイミングは以下の通りです。どれも日常の流れに無理なく組み込みやすい場面です。

• 寝る前の落ち着いた時間帯 — 集中して聞きやすい。
• 入浴や着替えの前後 — からだの話題と結びつけやすい。
• 家庭での会話が増える休日の午後 — 親子でゆっくり話せる。

追加の学びにつなげるアイデア

絵本をきっかけに幅を広げるアイデアをいくつか紹介します。

• ワークシート作成：年齢に応じた簡単な質問シートを作り、親子で答えてみる。
• 絵を描く活動：本のワンシーンを一緒に描いて感情や出来事を言葉にする。
• 役割遊び：場面を演じて「どう言えばいい？」を実践で学ぶ。

よく使われるテーマ別キーワード（読み聞かせで使いやすい言葉）

読み聞かせや日常会話で繰り返すとよいキーワードです。強調したい言葉は適宜strongタグで示しています。

• だいじ — 身体や気持ちの大切さを表す合言葉として。
• いやだ — 自分の感情を表現する練習に。
• つたえる — 困ったときの行動（誰かに伝える）を促す語。
• ちがい — 体や家族の違いを肯定するための語彙。

まとめの前に：親が知っておくと便利な補足

親自身が完璧を目指す必要はありません。絵本は「伝え方を学ぶ道具」であり、親子の対話を生み出すための媒体です。疑問が出たら素直に「一緒に調べようね」と言える姿勢が、子どもにとって何より安心につながります。